仁科さんにあやまる前に、私は両側からわきの下に腕を入れられて、廊下に連れ出された。
ただのクラスメイトじゃなく、Cometのメンバーに。
背中をどん、と押されて床にひざをつくと、教室の扉をカラカラと閉める音がする。
締め、出された…?
信じられないけど、ゆっくりその事実を飲みこむと、顔を上げてあたりを見る。
登校してきた、たくさんの生徒。
なかには見知った顔もあるのに、半分が目をそらして、半分が冷たく見下ろしてきた。
「うそ…」
こんなの、うそ。
だって、昨日までは…!
じわっと、目に涙がにじんできて、私はうつむきながら立ち上がった。
階段に向かって走って、上の階へと逃げていく。
お兄ちゃんから聞いたことがある、人が来ない場所。