「うぜぇ」
不良たちと渡り歩いてるんだから、こうやってにらまれることがまったくないわけじゃない。
でも、それがいままでそこそこ仲良くしてきた相手だと、さすがに傷つく。
「…そういうの、やりたい人でやればいいんじゃないかな」
ピンク色の垂れ目をした仁科さんがおずおずと口をはさんできて、思わず眉根を寄せてしまう。
「でも、役割っていうものが…」
「赤史くんはやりたくないみたいだよ?いやなことを強制するの、あんまりよくないと思う。それよりもっと…」
「仁科さんは赤史を甘やかしてばっかり、肯定ばかりじゃいけないこともあるの!」
なにもわかっていない仁科さんに、思わず声をあらげてしまった。
仁科さんは身を引いて眉を下げ、傷ついたような顔で「でも…」とか細く言う。