「……ほんとの事言ったら、彩海さん怒りそうだから。」

「私が怒るような事、したの?」

「…………でも非道徳的な事じゃないから、安心してよ。」

 いや、そう言われたら尚更安心できない。

 余計に不安になる要素を伝えてどうするんだ、三ツ谷君は。

「本当の事、話して。」

「……どーしても?」

「どうしても。」

「絶対?」

「絶対。」

 私はやまびこじゃないのに、三ツ谷君の話を聞きたいが為に相槌を打つ。

 根気強くそうしていると、やっと分かってくれたのか……諦めたように、彼は口を開いた。

「今回のは、早苗さんと共謀したんだ。」

「サナ、と?」

 どうしてそこでサナが出るのか……嫌な予感がする、気がする。

 いや、なんとなく分かるんだけども……。

「早苗さんは元々、担任や学年主任に話に行ってたらしいんだ。今の3年には受験生だって自覚がない、だから勉強する習慣を今からでも身に着けられるような何かをしてほしい……ってね。」

 サナ、いつの間にそんな事してたの……。