どうしようもない私の手を取った人。

「……ここじゃなんだし、早く学校出よ。」

「う、うん。」

 友達の早苗、ことサナに背中をぐいぐい押されながら、校舎から出る。

 その時、おもむろに背後に視線を感じた。

 ……えっ?

 もちろん近くに居るのはサナだけだから、サナの視線だと思うんだけど……。

「ん? どーしたの彩海。」

「……何でも、ない。」

 きっと気のせいだ。中二病っぽい事を考えるのはやめよう。

 サナとは違う、別の人の視線を感じた気がしただなんて。



 サナと私はいわゆる幼馴染というやつで、家が近い事から大体登下校を共にしている。

 いつもの歩き慣れた道の景色をぼんやり見ながら、私はサナの言葉に気だるげな返事をした。

「……今日も教室、うるさかったね。彩海、大丈夫?」

「分かんない。でも多分、大丈夫じゃない。」

 友達という間柄でこんな弱音を吐ける相手は、今のところサナだけだ。

 サナも私と同じで、ちゃんと受験に焦りを感じている人間であり勉強熱心。

 だから度々こうして、サナには愚痴のように鬱憤を吐いている。