「……送ってくれて、ありがと。」

「どーいたしまして。それにしても、思ったより家遠いんだね。」

「別に。こんなものでしょ。」

 その日、もう暗くなってきているという安直な理由で、三ツ谷君は送ってくれた。

 私の家の玄関前でそんなどうでもいい話をして、私は三ツ谷君にもう一度お礼を言った。

「今日はありがと。……あのメールがどうなるか、心配だけど。」

 皮肉を含めたように、そして煽るように最後に付け加える。

 でも三ツ谷君は薄く笑っただけで、真に受けていないように見えた。

「ん、楽しみにしててよ。彩海さんにとって、良い結果に転ぶと思うから。」

 その自信はどこから来ているんだか……。

 なんて呆れたけど、そこまで自信があるなら一応は信じよう。

 三ツ谷君は最後に目を細めて私を見つめると、颯爽と身をひるがえして帰っていった。

 ……くそぉ、去り際なんかかっこいいな。むかつく。

 決して口には出さない事を思いながら、私も玄関扉を開けて家に入った。

「ただいま。」

 そう言っても、帰ってこない返答。