どうしようもない私の手を取った人。

 そうすれば、落ち着いて勉強に集中できるかもしれないっていう……単なるエゴ。

 とは、言えなかった。

 もう幾度となく言われてきた、『人の心配をするな、自分の心配だけしてろ』発言。

 私にとってこの言葉は結構、心に来る。

 やっすい言葉で片付けられるほど、私の気持ちは軽くない。

 ある程度の気持ちがあるからこそ、言われたその言葉は手厳しいものだと思っている。

 確かに、そうだけれども。

 そう納得してしまう部分があるから、私はいつも苦笑いを浮かべるしかなくなるんだ。

「そう、ですね。」

 こんな事、本当は言いたくないのに。

 思いつつも、言葉にできないから押し殺すしかない。

「わ、私帰りますね。」

「おう、気を付けて帰れよ。」

「ありがとうございます。」

 逃げるようにスクールバッグを肩にかけ、私は教室を出て行った。

 そのまま早足で生徒玄関まで向かい靴を履き替えようとしたら、不意に声をかけられ。

「彩海、一緒に帰ろっ?」

「あ……さ、サナ……。うん、帰ろっか。」