どうしようもない私の手を取った人。

 彼はやっぱり、本当に分からない。

 教室で待ってろと言われたのに、話をするのはここって。

 でももう、彼に振り回されるのに慣れてきたから何も言わない。

 大人しく、話を聞こう。

「長い話?」

「そんな。まぁまぁくらいかな。」

「……アバウト。」

「そりゃどーも。」

 褒めてない。

 と言ったところで、どうせ期待する言葉は返ってこないだろうから、あえて何も黙っておく。

 それが分かっているのかは知らないけど、三ツ谷君はいきなり本題に入ってきた。

「彩海さんは、今の状態になるまでは可哀想じゃなかった。」

 まさに藪から棒、いきなりすぎる。

 それでも私は、どこかでその言葉が腑に落ちていた。

 そうかもしれない、自分がこんなに不調になるまでは、全部が楽しくて良かった。

 なんとなく、三ツ谷君の言いたい事が分かる気がした。

 ……でも、今は可哀想だと言いたいらしい。

「私の何が、可哀想なんだっけ。」

「周りの人間関係、彩海さんを取り巻く環境、そして無意識の彩海さんの責任感。それが可哀想だよ、俺から見たらね。」