「あれー? 彩海帰らないのー?」

「ごめん、今日ちょっと残らなきゃいけなくて。サナは気にしないで、先帰ってていいよ。」

「そっかー。なら仕方ないね、帰る時は気を付けなよ。」

「うん、そうするつもり。」

 私を呼びに来てくれたらしいサナに笑顔を返し、その直後ため息を漏らす。

 はぁ……結局残ってるし、私……。

 三ツ谷君の言葉が単に気になっただけ。ただそれだけの事。

『もし俺の話を聞いてくれるなら、放課後教室に残ってて。』

 あんな意味深な事を言われたら、どうせなら最後まで聞いてしまいたい。

 昼休憩の後じわじわとそんな気持ちが膨らんでしまった私は、大人しく自分の席で待ってる事に。

 ……なのだけど。

「肝心の三ツ谷君どこ行ったの……。」

 同じクラスなんだから、てっきり三ツ谷君もそのまま教室に居ると思ったのに。

 どっか行ったらしい三ツ谷君に、呆れてまたため息を吐いてしまう。

 もうホームルーム終わってから10分以上経つし、私のこと忘れてるんじゃないの。

 ……うん、あり得る。彼はよく分からない生態してるし。