気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす


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「おい、生きてる?」


湯船の中で記憶を整理しつつ、今後の覚悟を決めていたら、スモークの外側から声がかかる。



「すみません、もう、すぐにあがります」

「別に急かしてない。もし中で倒れてたら笑えねえだろ」


もしかして、心配してくれたのかな……。

頬に赤みが差すのを感じる。


「……ありがとうございます」


だいぶ間が空いたので相手に届いたかどうかはわからない。


ただ単に中で倒れてたら面倒だから、という心配なのはわかっているけど。

あの家にいた頃は、少し長湯しただけで早くあがれと怒鳴られていたし、逆に離れに追いやられたあとは、
どれだけ長湯してのぼせ気味になろうと声を掛けてくれる人はいなかったから……嬉しい。


少し口元が緩んだのを、慌てて戒める。