人に電話を掛けるなんて久しぶり。
わずかに震える指先で、発信ボタンをタップする。
──プルルルルル……と、数回呼び出しても反応はない。
留守番サービスに接続されるでもなく、無機質な音が延々と続く。
忙しいのか、お休み中なのか。
知らない番号だから出ないっていう可能性もあり得る。
その場合困った。どうしよう。
10コールを超え、さすがに迷惑かもしれないと、一度電話を切った。
──矢先のこと。
ヴーッ、とスマホが振動して、思わず廊下に落としてしまいそうになる。
発信元は、私が掛けた番号。
ドッと心臓が暴れる。
京櫻家の息子さんに折り返させてしまった……っ。
すぐさま応答ボタンをタップしたと同時、こちらが何か言う間もなく
『誰?』
と露骨に不機嫌な声が聞こえた。



