気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす


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「叶愛ちゃん」


翌日。

お昼休みに、渡り廊下で蘭野くんに声を掛けられた。

すぐに婚約の話が頭をよぎって、少し上ずった声が出る。



「お久しぶりです、蘭野くん」

「ふふ、相変わらず叶愛ちゃんって礼儀正しいね」

「いえ、そんな……」


堅苦しいじゃなく礼儀正しいとわざわざ言い換えてくれるあたり、蘭野くんは本当に気遣いが上手だ。



「ここじゃなんだし、空き教室にいいかな」

「そうですね。わかりました」



場所を変えるってことは、もしかしなくてもあの話だよね。

少し緊張しながら、誘導されるまま廊下を歩く。


「その……聞いてるよね、婚約の話」

「は、はい。本当に、私なんかで申し訳ありません。ふつつか者ですがどうぞよろしくお願いいたします」


「あははっ、そんなに畏まらないでよ。話を聞いたときは驚いたけど、僕は相手が叶愛ちゃんでよかったと心から思ってるよ」

「恐縮です。私も、幼なじみの蘭野くんが相手でよかったです……」