気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす


「はい、それで。実は前に、蘭野くんとの縁談をお父さんに持ち掛けれたことがあったんです」

「……うん」

「でも、蘭野くんのほうには、また別の方からも縁談の申し出があったみたいで、私と蘭野くんの婚約は白紙になりました」



少し遅れて、また「うん」と返事がくる。

歴くん、どこか心あらずな感じ……。

そりゃあこんな話、歴くんにとっては、どうでもいいよね……。



「えっと、短くまとめると、蘭野くんが私のためにもう一方の方との婚約を破棄されたそうで、だから改めて結婚してほしいと言われた感じ……です」


またしばらく返事がなかった。

お風呂あがりで眠たいのかな……?

そっと覗き込もうとしても、濡れた前髪が影をつくって表情を読ませてくれない。