気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

ラムさんにそう言われ、いったいなんのことかと思った矢先に、気づく。


──かけてたはずのメガネが……ない。


っ、てことはもしかして、ラムさんが踏んだのって……。

やっぱりそうだ。ラムさんが退けた足の下には、真っ二つに折れたメガネがあった。



「もしかして、目見えなくなっちゃった?」

「……いえ、大丈夫です」


顔を隠すために使っていた物だから、もともと度は入ってない。

だけど、問題はそこじゃなくて……。



「あーあ。スタッフさんたちも可哀想。ノアちゃんのせいで作り直しー」


また蘇ってくる。

──『本当に愚図ね。使えない子』


だめだ、今は片付けることに集中しないと……っ。



「ノアたん大丈夫っ? ケガはっ!?」


間もなくして、きらりさんとスタッフさんが駆け寄ってきた。


「大丈夫です、血も出てないし。それよりすみません、グラスとドリンク……」

「そんなの全然いいようっ!……って、きゃあ! メガネなしのノアたん可愛い〜〜っ」