そして5月に入ってすぐの5日、紘とエレナの待望の赤ちゃんが無事に生まれた。

目鼻立ちの整った澄んだ瞳のその男の子は、小笠原 (るい)と名付けられ、家系図にも正式に紘とエレナの下に名を連ねた。

「信じられるか?こんなに可愛い子が私の孫だなんて。ああ、まさに天使」

デレデレと鼻の下を伸ばして喜ぶ父を尻目に、祖母が「おじいちゃんに似なくて良かったわね」と塁に笑いかける。

美紅も既に塁にメロメロで、毎日仕事から帰ってくると塁を抱っこして癒やされていた。

伊織と美紅の結納の準備も本格化する。

二人はまず木崎社長宅に正式に仲人のお願いに上がり、日取りも7月の大安吉日と決まった。

関東式の正式結納の為、結納品は9品目。
木崎夫妻は結納品の受け渡しに、本堂家と小笠原家を1往復半することになるが、その送迎は須賀にお願いした。