「え? でも……どういうことでしょうか?」

 経緯を尋ねられ、しどろもどろになりながらもおおよその事情を説明する。
 獣人のことには触れずに、花離宮を訪ねてきたライズの前でフランが気を失ったため、心配した皇帝が連れ帰り、介抱してくれたのだということに落ち着かせた。
 フランの体調が万全でなかったのは事実なので、サリーは疑う様子もなく頷いた。

「そうでしたか! 日頃厳しいイメージのある陛下ですが、いざとなればお優しいのですね……。でも少し残念です。てっきり私が思うより急展開で、特別な夜に発展されていたのかと……」

 どんな想像をされたのか考えると、恥ずかしくてたまらない。
 今後もなにか動きがあればサリーに相談していくべきなのだろうが、この手の話になると照れてしまうのは、慣れられそうもなかった。
 それでも興奮冷めやらぬといった風で、サリーが続けた。

「それにしてもフラン様、すごすぎます! この貴賓室って、本来は皇妃様がお使いになられるお部屋ですよね? それを使うように言われたということは、陛下から見込みがあると判断されたのだと思います!」
「いえ……お、お部屋に関してはそのとおりなのだけれど……」