ライズが去ったあと、すぐに複数のメイドが現れて、フランのために立派なドレスと美味しい食事を用意してくれた。
 楽にしていてよいが、指示があるまでは部屋から出ないようにしてほしいとのこと。
 他に必要なものがあればなんなりとと尋ねられたので、サリーを呼んでほしいと伝えたところ、希望はすんなり聞き入れられた。

「フラン様!」
「サリー! 戻ってきてくれて嬉しいわ!」

 側仕えに復帰したサリーが、喜びをあらわに駆け寄ってくる。
 これからはまたフラン付きの侍女として、身の回りの世話を焼いてくれるらしい。不安だった心は、それだけで救われた気持ちになった。

 通常なら上級侍女しか入れないという皇族専用の部屋を一緒に見て回りながら、積もる話に花を咲かせる。
 今朝目覚めたときの話にもなり、サリーがきらきらとした視線を向けてきた。

「一夜をともにされたということは、その……フラン様と皇帝陛下は、そういうご関係に……?」
「ち、違うのよ! よく覚えていないのだけど、多分なにもなかったと思うの……」

 赤面しながら、首を横に振って否定する。