その発表はおおいに会場を盛り上がらせた。どよめきが波のように持ち上がるのを感じる。

「ライズ様……」
「なぜそんな驚いた顔をする? 前に、きちんとプロポーズすると言ったろう」

 心臓が早鐘を打つ。聞き間違いではないかと目を見張っていると、彼は小さく苦笑し、困ったやつだという表情を浮かべた。

(いや、だって……今日プロポーズされるなんて、聞いていませんよ!?)

 以前からわかっていたことだが、傲岸不遜でも許される皇帝はひと味違う。圧倒的に言葉が足りない。サプライズのつもりかもしれないが、不器用すぎる。
 けれどもそんなこともひっくるめて「問題ない」とわかっている彼は、改めてフランを正面にとらえ、真摯に見つめながら言った。

「フラン。私の思いを受け止めてはくれないのか?」

 早く返事をしなければと思ったが、まだ動揺が収まらず、唇が宙をかくばかりで肝心の言葉が出てこない。