目が覚めたとき、真剣な表情をしたライズがベッドの傍らからこちらを見つめていた。その手は祈るように強く、フランの左手を握りしめている。
 視線が合った瞬間、紫の瞳が大きく見開かれた。

「フラン……! 気がついたか?」

 彼は身を乗り出すと、こちらの体を掻き寄せるようにして抱きしめてきた。

「ライズ様……?」

 広い胸の中はとても温かくて安心できるが、力が強すぎてちょっぴり苦しい。
 ライズの肩は細かく震えていて、大きな心配をかけていたことがわかった。
 彼の肩越しに見える豪奢な部屋の内装は、フランの部屋のものではない。以前、臨時的に使わせてもらっていた皇妃の部屋だ。
 どうやら小離宮でルークを助けるために力を使い果たしたあと、ここへ運ばれたらしい。