彼の体が、発光するように輝きはじめた。フランの力が働いている証拠だ。
 昔、ウサギを助けたときとは比べものにならないほどの疲労感が襲ってきた。吸い取られるようにマナが失われ、強いめまいを覚えたが、奥歯を噛みしめて集中を保つ。
 外部の力が加わって抵抗を感じたのか、ルークが大きく呻いた。だが声を出せるだけの体力が残っていると考えれば、希望はある。

 それから長いのか短いのかわからない時間、夢中で力を放出し続けた。
 消耗し、目の前が白く染まってくる。対象が発する光も弱まり、焦りが生まれた。効果が出ているのか、それとももう手遅れなのか、自分では判断がつかない。

 やがてすべてを出し尽くし、その場に倒れ込みかけたとき、廊下のほうからバタバタと大きな足音が近づいてきた。まっすぐにこちらを目指し、誰かが駆け込んでくる。
 すぐに肩に手が置かれ、頼もしい声が耳に飛び込んできた。

「フラン……!」

 あぁ、やはり彼は、ライズは来てくれた。早くルークを起こさなければ。けれど意識がもうろうとして、姿勢を保っていられない。
 細く狭まる視界の中、ひどく焦った様子のライズの顔が見えた。強く抱きしめられて、糸が切れるように目を閉じた。