先人が通った痕跡をたどり、まっすぐに進んでいくと、訪問先と思われる場所はすぐにわかった。ぽっかりと木々が開けた場所に、小さな宮殿がひっそりとたたずんでいる。
景色をひと目見たとき、フランの心に暗い影が差した。
隔離されるように建てられた小離宮。その殺風景なイメージは、祖国でフランが粗相をしたときに罰として閉じ込められていた廃宮にそっくりだった。
ただの倉庫として使っているに違いないと、祈るような気持ちで建物に近づく。
出入り口に見張りはいなかったが、扉には頑丈なかんぬき錠がかかっており、獣の姿であるフランの力ではどうやっても開けられそうにない。
壁に沿って回ってみると、一階の小窓がひとつ開いているのが見えた。その付近の地面には、おあつらえ向きにいくつかの木箱が放置されている。
それらを踏み台にして、窓の外側に突き出した花台に飛び上がった。そっと中を覗いてみると――。
(あっ!)
なんと、いきなり部屋の中にいた人物と目が合ってしまった。窓際に置かれたベッドに細身の男性が横たわり、こちらを見上げていたのだ。
すぐに身を引こうとしたが、穏やかな低い声がそれを引き止めた。
景色をひと目見たとき、フランの心に暗い影が差した。
隔離されるように建てられた小離宮。その殺風景なイメージは、祖国でフランが粗相をしたときに罰として閉じ込められていた廃宮にそっくりだった。
ただの倉庫として使っているに違いないと、祈るような気持ちで建物に近づく。
出入り口に見張りはいなかったが、扉には頑丈なかんぬき錠がかかっており、獣の姿であるフランの力ではどうやっても開けられそうにない。
壁に沿って回ってみると、一階の小窓がひとつ開いているのが見えた。その付近の地面には、おあつらえ向きにいくつかの木箱が放置されている。
それらを踏み台にして、窓の外側に突き出した花台に飛び上がった。そっと中を覗いてみると――。
(あっ!)
なんと、いきなり部屋の中にいた人物と目が合ってしまった。窓際に置かれたベッドに細身の男性が横たわり、こちらを見上げていたのだ。
すぐに身を引こうとしたが、穏やかな低い声がそれを引き止めた。



