目を丸くしているライズの反応を見て、うまくいってよかったと肩の力を抜く。

 幼い頃、怪我をして弱ったウサギを見つけて同じように働きかけたことがあり、今回も再現できるだろうという予想はあった。
 しかしながら、癒やしの力は精神力を異常に消耗する。とても疲れてしまう上に、きっと人に知られたら余計に気味悪がられてしまうだろうと、この力のことはずっとひた隠しにしてきたのだ。
 けれどもライズになら知られても構わないし、彼のためならば具合が悪くなることも厭わない、そう思っての行動だった。
 本当は完全に傷が治るまで治療を続けたかったが、残念ながらこれ以上はこちらの体力が持ちそうにない。

「少しでもお力になれたなら、よかったです……」

 フランの様子がおかしいことを感じ取ったライズが表情を引き締め、気遣わしげな視線を向けてくる。

「大丈夫なのか? 私のために、無理をしたんだな」
「平気です。少し休めば……」

 ふらりと傾きかけた体を受け止めるように、胴に腕が回り支えられた。そのまま体を引き寄せられ、彼の膝に腰かけて胸に寄りかかるよう導かれる。
 頬に片手が添えられた。手の平から伝わる体温が心地いい。