「陛下……!」

 突然の訪問に驚かないわけがない。唖然としたまま立ち尽くす。
 けれどすぐに湧き上がってきたのは、無上の喜びだった。
 ただ顔を見られて嬉しい。好きな人に会えた幸せ。そんな幸福感に包まれて、建て前や理屈などすべて吹き飛んでしまう。

 思わず彼の胸に飛び込みたい衝動に駆られたが、直前で理性が働き、足にストップがかかった。けれどライズは腕を開いて、逞しい胸にフランを引き込んで抱きしめた。
 吸い込まれるように包み込まれて、大きな目をこれ以上ないほど見開く。すっぽりとおさまった腕の中は温かくて、大好きな匂いもして最高の居心地だ。

「元気にしていたか? フラン」
「……はい……。はい、陛下……」

 ふいに感情が盛り上がり、目頭が熱くなった。
 逞しい胸に頬を擦り寄せれば、大きな手の平で緩やかに髪を撫でてくれる。
 背に回された腕は、がっちりとした安定感。まるでおまえのいる場所はここだと示すかのように。