照れた様子でおとなしくなったフランを、どこへ案内しようか考えを巡らせた。
 まずは商店が並ぶメイン通りへ繰り出すのがいいだろうか。

「おまえの功を労うための外出だ。なんでも欲しいものがあったら言うがいい」
「は、はい……ありがとうございます」

 嬉しそうに顔をほころばせていることを確認して、進行方向へと視線を戻す。賑わうほうへと連れ立って歩きだした。
 褒美が街の案内などでいいのかとライズは今でも不思議に思うし、本人にも何度も確認したのだが、フランは意見を曲げなかった。目が輝いていたから、本心からそう望んでいるらしいことは察している。

(要は、羽を伸ばして遊びたいということでいいのか?)

 なりゆきだったが、今日という日はライズにとってもいい気分転換になっていた。
 フランのことを初めは小動物だと思っていたせいか、離宮の姫たちに感じるような気詰まりは感じないし、一緒にいて心地がいい。
 いい意味で単純というか、裏がなくて安心する。それに大きな金色の瞳は飴玉のようで、覗き込めば不思議と心が和らぐ気がした。

(そういえば初対面のときにも、目を奪われたな……)

 その飴玉の持ち主の様子を確認すれば、遅れまいと必死にあとをついてきている。足早になっていたことに気づき、歩幅を緩めた。