そんな嘆願は耳に入らないかのように、ライズはフランから目を離さない。
 唇が耳に触れそうなほどの至近距離から、低く囁かれた。

「さぁフラン。呼ぶんだ――ライズと」

 ぞわぞわと背筋がわななく。
 これは、言わねば解放されない流れだ。甘い圧に流されて、意識が飛んでしまいそう。

「ラ……ライズ、様……?」

 極上の笑顔が視界を焼くように刻みつけられる。クール美形の破壊力たるや、すさまじいものがある。

「これでわかったな? 私とフランの関係の深さが……。おまえたちが入り込む隙間など元からないのだ」

 衝撃を受けたのはフランだけではない。全員が魂を奪われたようになり、あとはもう――ただ沙汰を待つことしかできないのだった。