「陛下、フラン様! ご無事ですか」
素早いノックのあと、クリムトが部屋に入ってきた。
側近の彼があの場にいれば侍女の不審な行動も事前に見抜いていただろうが、あいにく別の用事を言いつけられて、会場とは別の場所に赴いていたらしい。
「フラン様、陛下を守ってくださり、ありがとうございます。負傷されたのですか?」
「いえ、かすり傷なので……。それに、先ほども陛下に申し上げましたが、私、傷が治るのが早いんです」
ほら、とわざと明るい声を出し、手の平をふたりに見せる。傷はもう治りかけていた。
ライズは驚いたように目を見張り、クリムトは感心したように頷いている。
「本当にそのようですね……。これもフラン様の持つマナの力でしょうか」
今まではただの体質だと思っていたが、クリムトの言うとおりなのだろう。不気味だとそしられていた能力が、彼らの前では自然に受け入れてもらえてありがたい。
ライズはほっとした表情を見せながらも、納得はしていないという様子でぼやいた。
「だとしても無理はするな。問答無用で兵に斬られていたかもしれないんだぞ」
心配してくれているとわかり、ことさら胸が熱くなる。
素早いノックのあと、クリムトが部屋に入ってきた。
側近の彼があの場にいれば侍女の不審な行動も事前に見抜いていただろうが、あいにく別の用事を言いつけられて、会場とは別の場所に赴いていたらしい。
「フラン様、陛下を守ってくださり、ありがとうございます。負傷されたのですか?」
「いえ、かすり傷なので……。それに、先ほども陛下に申し上げましたが、私、傷が治るのが早いんです」
ほら、とわざと明るい声を出し、手の平をふたりに見せる。傷はもう治りかけていた。
ライズは驚いたように目を見張り、クリムトは感心したように頷いている。
「本当にそのようですね……。これもフラン様の持つマナの力でしょうか」
今まではただの体質だと思っていたが、クリムトの言うとおりなのだろう。不気味だとそしられていた能力が、彼らの前では自然に受け入れてもらえてありがたい。
ライズはほっとした表情を見せながらも、納得はしていないという様子でぼやいた。
「だとしても無理はするな。問答無用で兵に斬られていたかもしれないんだぞ」
心配してくれているとわかり、ことさら胸が熱くなる。



