村正さんと物理的に距離をとってみたけど。 お酒をそそがれて、心理的な距離が近づいただけだったな。 あやめはそんな、脇田に、 「何度も酒そそいだだけで、懐いてくれるのっ? じゃあ、今度、呑みに行こうよっ」 と誘われそうなことを思っていた。 便利だけど。 『ムラマサ』は使うまい。 危険すぎる。 今までの私の安定した世界が遠ざかる――。 そう思ったとき、エレベーターの扉が開いて、小林が乗ってきた。 「お疲れ~」