グラスを食洗機に突っ込みながら、
俺、家事が手早くなったな、と村正は思っていた。
いや、使い終わった食器をすぐに食洗機に入れるようになっただけなのだが。
だが、こんなことすら、自分でやったことがなかったから。
――だからって、ここにいて、理想のムラマサになれるかと言うと、そういうわけでもない気がするのだが……。
「あっ、赤い箱の石鹸が切れてますっ、村正さんっ」
というあやめの呼び声が風呂から聞こえてきた。
村正はあやめが玄関の隅に置いたまま忘れているエコバッグから、石鹸をとってくる。
「ドアの前に置いとくからとれよー」
生活のアシスタントをするAIというより、執事か、気の利く彼氏みたいだな。
いや、なにもさせてはもらえない彼氏なんだが……と思いながら、村正は風呂の扉の前に、そっと石鹸の箱を置いた。



