「また書いてるのか? 日記」 お風呂にお湯がたまるまで、カウンターで今日のできごとを書いているあやめに村正が訊いてくる。 「はい。 スペース的に短くしか書けないんで。 厳選したことを書こうかと」 「なんて書いたんだ?」 二人分のグラスにワインを注いでくれながら、村正が問う。 「え? 『村正さんに駄目人間と言われました』」 「……他に書くことあるだろう。 クラスメイトの初恋の人に出会ったとか」