ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

 まあ、さっきの安穂ちゃんみたいに、赤の他人だと思っていたのに。

 実は、いろんな友だちの思い出を共有してたなんてこともあるけど。

 バスを降りながら、ふと、あやめは訊いてみた。

「そういえば、なんで、私に声をかけてきたんですか?」

 うん? と村正が振り向く。

「あのとき、なんで夜道で私に声をかけてきたんですか?」

「駄目人間っぽかったから」

 即答か。

「駄目人間っぽかったから」

 村正はそう繰り返す。

「いろいろい日常生活のことを面倒臭がってそうだな、と思った。
 それで、こいつだったら、俺を雇ってくれそうだと思って」

「……お昼休みに合鍵作ったんですけど。
 渡すのやめときますね」

 いや待てっ。
 ちょっと待てっ、と村正は叫ぶ。