「あんなところで、お前の学生時代の友人に出会うとはな」
「まあ、よく考えたら、ここ、地元から近いんで。
誰かいてもおかしくないですけどね」
帰りのバスの中。
ふたりは吊り革を持ち、道沿いにある夜の公園を眺めていた。
「学生時代か。
懐かしいな」
「なんかゴージャスな学生時代っぽいですよね」
「なんだ、ゴージャスな学生時代って」
と言ったあとで、村正は、ふと思い出したように言う。
「そういえば、大学時代。
教授がお前らも貧乏旅行をしてみろ。
人生経験だ、とか言い出して。
ゼミの旅行で四国に行ったんだが。
昔、修学旅行客が泊まっていたとかいう、古い宿の四畳半の部屋に四人ずつ泊まったことがあったな」



