村正は誰かから電話がかかって、離れた場所に行った。 安穂が、そちらを見ながら、ふふ、と笑う。 「素敵な人ね。 彼氏?」 「いや……なんかその。 うちに住んでる人……?」 自分でもよくわからないので、そんな曖昧なことを言ったが、安穂は、 「あやめちゃんって、なんか、噂通りね」 と楽しそうに言う。 「どんな噂ですか?」 と訊いたのは、あやめではなく、戻ってきた村正だった。 いや、何故、あなたの方が食いつくのですか……と思いながら、あやめは見ていた。