腰を下ろした村正は沈黙し。 しばらく蚊取り線香の匂いと夏の夜風の匂いだけが漂っていた。 話したいことってなんだろうな……と思いながら、あやめは呑んでいたが。 村正はなにも言わずに、正面に見える暗がりの木々を見つめている。 村正さん、なんでずっとあそこを見てるんだろう。 なにかいるとか? 霊がいるとか? いや、もっと違うなにか…… そうだっ。 クマ!? 村正がそこで、いきなり振り向き、 「なんかまた、ムードのないこと考えてるだろ?」 と言ってきた。