数日後。 あやめたちは兄が指定したレストランに向かった。 レトロな西洋建築を改装したという建物を見上げ、村正は言う。 「いい雰囲気の店だな」 「そうですねー。 ちょっと食事するくらいと思ってたんですが。 なにかこう、気合いの入った店ですね」 兄の名で予約してあったので、案内され、個室に向かう。 先に来ていた兄は立ち上がり、村正に握手を求めた。 「初めまして。 あやめの兄の北条栄一郎(ほうじょう えいいちろう)です。 外務省に勤務しております」