ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

 沈黙に耐えきれず、
「ラ、ラジオでもつけるか」
と言うと、

「珍しいですね」
とあやめが笑う。

 まだ、そんなに車に乗せたことはないのだが。

 今まで一度も、そんなことなかったからだろう

 朝の情報番組を聴きながら、あやめが言う。

「そういえば、ラジオの野球中継って、想像力がいりますよね」

「そうか?」

「野球のルールよくわからないし。
 聴いててもいまいち、頭に状況が浮かばないっていうか」
と小首をかしげたあやめに、

「なるほどな」
と言ったが、あやめは、

「スタンドで、可愛い女の子の売り子さんにビールを頼んでいるおじさんの集団までは頭に浮かぶんですが……」
と呟く。

「……そういうリアルさはいらないんじゃないか?」