「朝はいつもてんてこ舞いなんで、自分のために朝一でパン買いに行くとかないから。
焼き立てパン買いに行くの、なんか新鮮」
すがすがしい朝の匂いを嗅ぎながらあやめはそう言った。
出る前に、ムラマサとして、みんなを陣頭指揮して、家の中を片付けていた村正が、
「ここからパン屋まで何分だ。
きっちり帰ってこいよ。
時計見てるからな。
ふたりで寄り道とかすんなよ」
とか言っていたのが、ちょっと鬱陶しかったが……。
だが、さわやかな気持ちのあやめとは対照的に、由良は深刻そうな顔をしていた。
「あやめさんのお部屋、なにもなかったですね……」



