ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

「人の気配もないな」

 ……俺をこの部屋に押し込めておいて、鍵をかけないとか。

 襲われたかったのだろうか?

 いや、あれ、そういうキャラじゃないな。

「若っ。
 誰もいないのなら、逃げてくださいっ」
と堀宮は叫んでいるが。

 いや、この家に押しかけてきたのは自分の方だ。

「いや、俺はまだなにも目的を果たしていない」
と言いながら、テーブルもない広いリビングを歩いた。

 物がないので、音が反響する。

 ほんと、犯罪組織が、なにか企んで、住む以外の目的で借りてる部屋みたいだな。

 生活感がない。

 あやめは単に、掃除しやすいから、こうしているようなのだが――。

「ん?
 なにかあるな……」
と呟くと、

 なにがあるんですかっ、と何故かこの場にいない堀宮の方が緊迫する。