ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

「若を気に入った誰かが、若を閉じ込めようとしたとかっ?」

「だから、閉じ込められてはいない。
 ――というか、あいつは俺のことを気に入ってもいないようだったぞ」

 ()という感じのあやめの瞳を思い出しながら、村正は言った。

 女性にあのような目で見られたのは初めてのことだ。

「……若。
 早くそんなところは出てください」
という堀宮の声が今までのどの瞬間より厳しくなる。

「いや、俺はここで……」

 やらねばならないことが、と言う前に、堀宮が叫んだ。

「若を気に入らず。
 愛するあまり、若を監禁したりとかしない者のところに、いつまでも、若がいらっしゃる必要はありませんっ」

「……いや、お前。
 俺が閉じ込められていた方がよかったのか」

 そう言いながら、村正はドアを開け、がらんとしたリビングを見回した。