ムラマサ！ ～道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました～

　ちょっと距離のある同じ高さのマンションが目に入った。

　外はいい天気のようだ。

　堀宮のことだ。

　いきなり、あの向かいのマンションからこっちを見てたりしないだろうな……、と思ったとき、堀宮が叫んだ。

「何処にいるんですか、若っ」

「……何処にいるんですかって、スマホの電源切ってないからわかってるんじゃないのか」

　調べるなって言われたんですよっ、と堀宮は不服そうに言う。

　まあ、なんだかんだで、いつも心配かけてるしな、と思った村正は、ちょっとだけ状況を説明してみた。

「なんか、あまり物のない中古マンションにいる」

　犯罪に巻き込まれたんですかっ？
と堀宮が叫ぶ。

　堀宮の頭の中の自分は、暴力団的なものが所有しているマンションの空き部屋に拉致監禁されているようだった。