ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

「やかましい、聞け。
 っていうか、なんだ、『オラ! ムラマサ!』って。

 俺はアニメのキャラかなにかか」

「違うと思いますよ」
と一見、あまり酔っていない風な堀宮が言う。

「一人称のオラじゃなくて、コラ、とかと同列のオラではないのですかね?
 あやめ様がおっしゃってるのは。

 オラオラオラ~ッとかってヤンキー風のやつが迫ってくるとき言う、あれですよ」

「あやめっ。
 なにが、『オラッ、ムラマサッ』だ。

 お前、『コラッ』の親父より悪いじゃないか」

 あなた今、お義父様のこと、親父って言ってますよ~。

 ふだんは言わないのだろうにな。

 酔ってると本音が出るのかな、とあやめは思う。

 この親子はいつか倒れるまで殴り合ったら分かり合えるに違いない、と少年漫画的なことを思いながら、あやめは目を閉じ、聞いていた。