「俺は家事とか日常生活のことはなにもできない男だから。
外に飛び出して不便を感じてみれば。
すぐにムラマサに関するいいアイディアが浮かぶと思ったんだがな」
そんな打ち明け話をバーカウンターで酒を作ってくれながら、村正は言う。
いや、まあ、あれだけのお手伝いさんたちに囲まれてたら、なにもやらないですよね。
でも、あなたは器用だから、メキメキ家事の腕を上げてて。
もはや、自分で要領よくなんでもできますもんね、と今も手際よく酒を作っている村正を見る。
……今まで作ったことないんだそうだ。
いつも行くバーでバーテンダーの人をよく眺めているだけで。
そんな莫迦な……。
コト、と夜空色のカクテルを出してくれながら、村正は溜息をつく。
「不器用そうなお前といれば、ナイスなアイディアが浮かぶと思ったのに」



