朝、あやめは自分の職場のデスクで黙々と仕事をしていた。
いつもの朝の風景。
でも、帰ったら、家にアレク○が二台いる……。
そんなことを思いながら、ふふ、と笑ったとき、ちょうど後ろを通っていた後輩の男性社員、沖本由良が怯えたようにこちらを見た。
どうしたんだろう?
と思って、あやめは振り向いたが、由良の方が、
「どうしたんですか?」
と訊いてきた。
「え?
なにが?」
「だって、北条さんって、ふだん、仕事中笑うことないじゃないですか」
「……あるよ」
「そうでしたっけ?」
「あるよ」
と可愛いと評判の後輩くんに、あやめは繰り返し主張してみた。



