「いや、初対面の方をいきなり呼び捨てとか抵抗があります」
「じゃあ、まず、俺がお前を呼び捨てよう」
いや、呼び捨てられたら、呼び捨てやすくなるというものではないと思いますが……、
と思うあやめに、村正が訊いてくる。
「お前の名はなんだ?」
「……あやめです」
「そうか、あやめ。
さあ、なんでも命じてくれ」
と言われるが。
「いや、特にありません。
村正さん、今夜は奥の部屋をお使いください」
とあやめは東側の部屋の扉を指差す。
「お前……、俺が行くとこがないから、お前に雇えと言ったと思ってるだろ」
「違うんですか?」
村正は返事をしなかった。
妙なところで素直なようだ。
「じゃあ、まず、俺がお前を呼び捨てよう」
いや、呼び捨てられたら、呼び捨てやすくなるというものではないと思いますが……、
と思うあやめに、村正が訊いてくる。
「お前の名はなんだ?」
「……あやめです」
「そうか、あやめ。
さあ、なんでも命じてくれ」
と言われるが。
「いや、特にありません。
村正さん、今夜は奥の部屋をお使いください」
とあやめは東側の部屋の扉を指差す。
「お前……、俺が行くとこがないから、お前に雇えと言ったと思ってるだろ」
「違うんですか?」
村正は返事をしなかった。
妙なところで素直なようだ。



