ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

 



 あやめはソファに座る男に珈琲を渡す。

 アレ○サ様に私が珈琲を淹れ、もてなしている……。

 もはや、意味がわからない、と思ったとき、男が言った。

「ありがとう。
 俺の名は村正(むらまさ)

 ……妖刀かな。

「『アレク○!』だと、ホンモノがいるんで、ややこしくなるから。
 俺に命じるときは、『ムラマサ!』と呼びかけてくれ」

 向かいの椅子に座って珈琲を飲むあやめの頭の中では、

『ムラマサ!』
と呼びかけると、刀が跳び上がり、キッチンでトマトを切っていた。

「村正さん」

「呼び捨てでいい」