トバ国王太子は金髪(ブロンド)で切れ長の青い瞳だった。フェイスラインはシャープ。背が高った。藤堂タイガといった。
 王太子執務室。
 広い部屋。シックな内装。窓があった。
 コート掛けに王太子の白いコートがかけられている。デスクの後ろの壁にはサーベルがかけられている。
 ソファに王太子となぎさがテーブルを挟んで座っている。テーブルにはコーヒーカップが二人の前に置かれていた。
 王太子は白いシャツに白いベストを着ていた。胸にはスカーフ。足は長い。皮の靴を履いていた。
 なぎさは豪華なドレスを着ていた。プリンセスシューズを履いていた。
 「なぎさ、こんなことになってすまないと思ってる」
 と、王太子は言った。
 「・・・・・・」
 「何とかしようとした。でもダメだった」
 「魔王スサノオ様は大変いいかたときいている」
 「・・・・・・」
 そういわれてもやはり魔王は怖かった。なぎさの中で破滅フラグがたっていた。
 「安心してくれ。スサノオ様とは婚約者を傷をつけない、充分な生活をさせる、待遇をよくするなどの契約を交わしている。スサノオ様は義務を信義に従い、誠実に履行してくださる方だ」
 なぎさはうつむいている。
 「魔王と同盟するための政略結婚と取られても仕方ないと思っている」
 と、王太子。
 「いえ、そんなことは」
 と、なぎさ。
 「いや、いい。魔王と同盟を結べば、我が国としては有利だ」
 王太子はいった。
 「魔王スサノオ様は疫病退散の神でもあらせられるから、国民が疫病から守られる」
 ということは、魔王との婚約からは逃れられない、となぎさは思った。破滅フラグは避けられない。なぎさは絶望した。