北條蓮が優しく微笑んでいる。

新しいスタッフ達は信じられない物を見ている気分になる。

あの、蓮さんが笑っている。
新しい個人事務所を立ち上げてから、直ぐに蓮はLAに行ってしまったから、そこまで深く関わった事の無いスタッフばかりだ。

今回は空港での騒ぎを抑える為、帰国の蓮を出迎える為に集まったに過ぎない。

全社員たった5人、連以外のタレントは新人が1人のみ。実質、蓮が働いてくれなければ社員の仕事は無いのだ。

だけど、これまでの曲の印税やCM契約、番組のタイアップ、いろいろなところから毎月驚くほど入ってくる。今までの蓮の功績により、あくせく働かなくても事務所的には何とかなるのだ。

「産み月には俺も育休取るからな。」
最近の蓮の口癖だ。

「分かってます。ちゃんと調整してますので、2ヶ月多少ハードでも耐えて下さい。」
森元がやっと人間らしい言葉を吐いて、打ち合わせは終了した。