しかし、日本に着くなり個室に通され少しの間身動きが取れなくなる。

それというのも、俺が帰国すると言う情報を何処で聞きつけたファンが、ロビーに殺到していると言う。

何故世間に漏れたのかは不明だが、心菜をファンの目から守らなければならない。
駆けつけた事務所スタッフ数人と、マネージャー森元と共に対策を練る。

俺が結婚した事は、未だ世間には公表していない。

事務所移転も伴ってバタバタとした年だから、今結婚を公表するのは、ファン心理を大きく燻らせる事になりかねない。

矢面に立つのはどうしたって心菜だから、そこは必ず隠し通さなければいけない。

心菜にとってのんびりとしたLAの暮らしとはかけ離れ、日本では極力家から出ないようにしなければならないだろう。

とりあえず空港から出る為、心菜は先にマネージャーと共に、一般客と紛れて脱出してもらう事になった。

俺は逆に目立つようにロビーを出て、人目を惹きつけるようにする。

そう、作戦を立て脱出を決行する。