「う〜ん…。」
思い悩む心菜をよそに、蓮は心菜が手に持っている食材を、奪い取るようにカートに入れて行く。

「俺を信じろ。大丈夫、絶対気に入るはずだ。」
不安そうな心菜を安心させるように、蓮は背中をそっと撫ぜ、チュッと軽いキスを頬に落とす。

「…っ!?」
言葉にならないくらい驚き目を丸くする心菜を、面白そうにフッと笑いポンポンと頭を撫ぜる。

「蓮さん…公共の面前です…。」
恥ずかしくて、真っ赤になった顔を隠しながら心菜が咎める。

「ここはLAだ。妻の頬にキスしたくらいで誰も気にも留めない。」

蓮はそう言って笑いながら、片手でカートを押し、心菜の手を取り歩き出す。

「早く買い物終わらせて帰らないと、それこそ時間に間に合わなくなる。」

蓮は何より身重な心菜の体調が心配で、こんなに思い悩ませるなら、父を呼ぶ事を取り辞めさせたいとまで思っていたから、サッサと終えて早く心菜を休ませたいのだ。