Side:藤間(ふじま)弥斗(やと)


腕の中で寝息を立てる可愛い生き物。

クリクリした丸い瞳を隠すまぶた。

クルンとカールしたまつ毛。


白い陶器のような肌に映える桜色の小さな唇。

最初は軽い気持ちで触れたそこに、今は溢れるほどの気持ちを込めて触れたい。




ピンポーン


「…」




詩伊(しい)はまだ寝てるってのに、迷惑なやつだ。

まぁ、起きる気配もなく、すやすやしてるが。




ピンポーン


「…詩伊、客だぞ」


「んぅ…」




頬に触れながら声をかけると、詩伊はギュッと眉根を寄せて、また穏やかな表情に戻った。

…可愛すぎる。


つんつんと頬をつつけば、「んん…」だとか「ぅ…」だとか律儀に反応を返してきて、思わず口角が上がる。




ピンポーン


「…るせぇな…」