「大丈夫?」
「いたぁーい…!」
「ごめんなさいでしょ!本当にすみません…!」
「いえいえ、わたしは平気です!ごめんね、痛かったね…」
尻もちをついて顔を押さえている女の子に謝って、少しでも痛みが和らげば、と頭を撫でる。
お母さんはぺこぺこ頭を下げて、女の子を立たせた。
「もう、泣かないの。ほら、行くわよ」
「うぇ~ん!」
「あぁ、ごめんね…!」
女の子を連れて、お母さんは去っていく。
あんなに泣かせちゃって、心が痛い…。
うぅ、と俯いて、わたしも落としたスマホさんを探すと、辺りのアスファルトの上には何も見つけられなかった。
「あれ…?わたし、確かに落としちゃったはずだよね…?」
どこにいったんだろう。
もう一度、自分の足元から円を描くように視線を動かすと、排水溝が目に入った。
わたしのすぐ傍にある。