名前で呼ばれて、ドキッとする。
な、なんだろう、他の人には呼ばれても平気なのに…イケメンさんだからかな?
それから歩き出した弥斗さんは、一歩一歩を遅くしてくれて、並んで歩けるようになった。
「はい…男の人と会ったのも初めてです。お父さんには会ったことがないので」
「ふぅん…それじゃ、俺が初めての男ってわけか。…悪くないな」
「そ、その言い方、なんだかちょっと、よくないと思います…!」
目を逸らしつつエコバッグを胸に抱くと、肩に手が回される。
「初心だな。悪い男に捕まって、可哀相に」
「え?」
「なんでもない。“スマホさん”を取ったら、家まで案内してもらうぞ」



